LBO
LBOモデルの作り方 — Excel不要、ブラウザで完結する方法
LBOモデルの構造と作り方を解説。3表連動Excelが不要なブラウザ完結型の簡易シミュレーション方法と、本格モデルとの違いをCPAが解説。
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加藤 陽生
公認会計士IPO準備企業の管理部長、M&Aアドバイザリー業務に従事。 中立的な立場で経営者のM&A判断をサポート。
公認会計士による監修済み(最終更新: 2026-03-30)
LBOモデルとは何か
LBOモデルは、レバレッジド・バイアウト(借入を活用した買収)の投資リターンと返済可能性を検証するための財務モデルです。
PEファンドのアナリストや投資銀行のバンカーが案件評価に使うツールであり、M&Aファイナンスの世界では最も重要なスキルの一つとされています。
LBOモデルの基本構造
LBOモデルは、大きく分けて4つのパートで構成されます。
パート1:Sources & Uses(資金調達と使途)
買収に必要な資金の調達源と使い道を整理します。
Sources(資金調達):
- シニアローン(銀行借入)
- メザニン・劣後ローン
- エクイティ(自己資金・ファンド出資)
Uses(資金使途):
- 買収価格(Enterprise Value)
- 取引費用(アドバイザリー報酬、登録免許税等)
- 運転資本の調整
パート2:事業計画(P/L予測)
対象企業の将来5〜7年のP/Lを予測します。
- 売上成長率の設定(Phase 1: 高成長期 / Phase 2: 安定期)
- 売上原価率・販管費率の見通し
- EBITDAの推移
パート3:返済スケジュール
借入金の返済計画を年次(または四半期)で作成します。
- シニアローンの元利返済
- キャッシュスイープ(余剰CFの強制返済)条項
- 金利計算(固定 or 変動)
パート4:リターン分析
投資家のリターン指標を算出します。
- IRR(内部収益率):年率の複利リターン
- MOIC(投資倍率):投資額に対する回収倍率
- Exit時の企業価値(Exit EBITDA × Exit Multiple)
Excelで本格モデルを作る場合の手順
本格的なLBOモデルをExcelで構築する場合、以下のステップが必要です。
- Operating Model(3表連動のP/L・B/S・CF予測)を構築
- Debt Scheduleを作成(借入種別ごとの返済計画)
- 循環参照の処理(利息→純利益→CF→返済→残高→利息)
- Exit Analysisのモデル化
- Sensitivity Analysis(感度分析テーブル)の作成
所要時間:熟練者で3〜8時間、初学者では数日
循環参照の処理は特に難易度が高く、Excelの反復計算機能またはVBAマクロで解決する必要があります。
Excel不要の簡易アプローチ
LBOの本質は「借入で買って、事業CFで返済して、最終的にいくら儲かるか」です。この核心部分に絞れば、3表連動モデルなしでもシミュレーションは可能です。
簡易モデルの前提:
- P/L予測をEBITDAの成長率で簡略化
- B/Sの連動は省略(NWC変動は別途考慮)
- 返済はCFの一定割合とする
- IRRはニュートン・ラフソン法で直接計算
ValSimのLBOシミュレーションは、この簡易アプローチを採用しています。以下の入力だけで結果が出ます:
- 買収価格と自己資金比率
- 借入の金利・返済期間
- EBITDAと成長率
- Exit倍率と保有期間
- 既存借入の条件(ある場合)
簡易モデルと本格モデルの違い
| 項目 | 簡易モデル(ValSim) | 本格Excelモデル |
|---|---|---|
| 所要時間 | 3分 | 3〜8時間 |
| 3表連動 | なし | あり(PL/BS/CF) |
| 循環参照 | 不要 | 要処理 |
| NWC変動 | 簡易仮定 | 月次/四半期で精緻 |
| 感度分析 | あり(IRR/MOIC) | より詳細に可能 |
| 用途 | 初期スクリーニング | LOI後の詳細検討 |
使い分けの目安:
- 「この案件は検討に値するか?」→ 簡易モデルで十分
- 「この条件で投資委員会に諮れるか?」→ 本格モデルが必要
LBOが成立する条件
LBOが投資として成立するためには、以下の条件が揃う必要があります。
- 安定したキャッシュフロー — 返済原資が確保できること
- 適度なレバレッジ — Debt/EBITDA 3〜5倍が一般的
- EBITDAの成長余地 — バリューアップ(コスト削減・売上拡大)の余地
- 合理的なExit戦略 — 再売却・IPO・MBOなどの出口
- 適正な買収価格 — 高値掴みするとレバレッジが返済を圧迫
まとめ
- LBOモデルの本質は「借入で買って、CFで返して、リターンを計算する」こと
- Excelの本格モデルは循環参照処理が必要で3〜8時間かかる
- 初期検討段階なら簡易モデルで十分。ValSimのLBO機能で3分で結果が出る
- 簡易モデルでIRR/MOICが目標水準に達するか確認し、有望なら本格モデルへ進む