バリュエーション
M&Aバリュエーションを無料で試算する方法【ツール比較】
M&Aの企業価値算定を無料で試す方法を比較。仲介会社の無料査定とCPA監修ツールの違い、EBITDA倍率法・DCF法・PSR法の使い分けを解説。
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加藤 陽生
公認会計士IPO準備企業の管理部長、M&Aアドバイザリー業務に従事。 中立的な立場で経営者のM&A判断をサポート。
公認会計士による監修済み(最終更新: 2026-04-03)
M&Aバリュエーションを「無料」で行う方法
会社の売却や買収を検討するとき、最初のステップは企業価値の概算を把握することです。しかし、正式なバリュエーションを公認会計士やFAに依頼すると数十万〜数百万円かかります。
まずは無料で使える方法で概算を掴みましょう。
無料で使えるバリュエーション手段の比較
| 手段 | 費用 | 匿名性 | 計算根拠の開示 | 営業電話 |
|---|---|---|---|---|
| M&A仲介の無料査定 | 0円 | なし(個人情報必須) | 非開示が多い | あり |
| 日本公庫の譲渡価格算出ツール | 0円 | あり | 開示 | なし |
| ValSim | 0円 | あり(登録不要) | 全プロセス開示 | なし |
| Excel自作 | 0円 | あり | 自分次第 | なし |
M&A仲介会社の「無料査定」
最もよく目にするのが、M&A仲介会社が提供する「無料企業価値査定」です。会社名・連絡先を入力するとアドバイザーから連絡が来て、査定額を教えてもらえます。
ただし、これは営業活動の入口です。査定後は仲介契約の提案が続きます。仲介手数料は一般的に最低500万円〜(レーマン方式)。「無料」の裏にはビジネスモデルがあります。
日本公庫の譲渡価格算出ツール
日本政策金融公庫が提供する簡易ツールです。のれん(利益の数年分)を加算する方式で、非常にシンプル。ただしEBITDA倍率法やDCF法には対応していないため、M&Aの実務で使われる手法とは差があります。
ValSim(公認会計士監修)
ValSimは、M&Aの実務で実際に使われる算定手法をブラウザで体験できる無料ツールです。
対応している算定手法:
- EBITDA倍率法 — 業種別の標準倍率で算定。最もポピュラーな手法
- DCF法 — 将来キャッシュフローの割引現在価値。成長企業向け
- PSR法(売上高倍率法) — 赤字企業・スタートアップ向け
- LBOシミュレーション — 買収資金の返済計画とIRR算出
すべて登録不要・匿名で使え、計算プロセスが全開示されます。
どの算定手法を使うべきか
| 手法 | 適しているケース | 必要なデータ |
|---|---|---|
| EBITDA倍率法 | 黒字の中小企業(最も一般的) | 3期分のPLデータ |
| DCF法 | 成長企業、事業計画がある場合 | 将来の売上・利益予測 |
| PSR法 | 赤字企業、SaaS、スタートアップ | 売上高と成長率 |
| LBOモデル | PE/サーチファンドによる買収検討 | 買収価格と借入条件 |
迷ったら、まずEBITDA倍率法から始めるのがお勧めです。3期分のPLデータがあれば3分で結果が出ます。
無料ツールの限界と、正式な算定が必要なタイミング
無料ツールはあくまで概算です。以下のポイントは専門家の関与が必要です:
- 正規化EBITDA調整(オーナー報酬の適正化、一時的な損益の除外)
- 類似企業の選定と倍率の精査
- Net Debt・運転資本の詳細分析
- 非事業用資産の評価
- 税務上の論点(自社株評価との整合性)
概算で方向性を確認し、具体的にM&Aが進む段階で正式な依頼を検討してください。
まとめ
- M&A仲介の「無料査定」は営業の入口。中立的な情報が欲しいなら別の手段を使う
- ValSimならEBITDA倍率法・DCF法・PSR法・LBOを匿名・無料で試算可能
- まずは概算を自分で把握し、その上で専門家に相談するのが最も効率的