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EBITDA倍率の業種別目安一覧【2026年版・CPA監修】

EBITDA倍率(EV/EBITDA)の業種別目安を一覧表で掲載。中小企業M&Aで適用する際の注意点と、倍率が上下する要因を公認会計士が解説。

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加藤 陽生

公認会計士

IPO準備企業の管理部長、M&Aアドバイザリー業務に従事。 中立的な立場で経営者のM&A判断をサポート。

公認会計士による監修済み(最終更新: 2026-03-24

EBITDA倍率とは

EBITDA倍率(EV/EBITDAマルチプル)は、企業価値(EV)をEBITDAで割った指標です。M&Aの価格交渉で最も広く使われる「ものさし」であり、「この会社はEBITDAの何倍で取引されているか」を示します。

計算式:

EV/EBITDA倍率 = 企業価値(EV) ÷ EBITDA

逆に言えば、企業価値 = EBITDA × 倍率 で算定できます。

なぜEBITDA倍率が使われるのか

M&Aの実務でEBITDA倍率が好まれる理由は3つあります。

1. 資本構成の影響を排除できる

PER(株価収益率)は借入の多寡で変動しますが、EBITDAは利払い前の利益なので、資本構成が異なる企業同士を比較できます。

2. 会計方針の影響を受けにくい

減価償却方法(定額法・定率法)の違いを排除できるため、設備投資の大きい業種でも公平に比較可能です。

3. キャッシュフローの代理指標になる

EBITDAは営業キャッシュフローの近似値であり、「この会社が年間いくらのキャッシュを生むか」を直感的に把握できます。

業種別EBITDA倍率の目安

以下は、中小企業M&A(売上1億〜50億円規模)で一般的に参照される倍率レンジです。

業種低め中央値高め特記事項
製造業(一般)5.0x7.0x9.0x独自技術・特許保有で上振れ
食品製造5.0x7.5x10.0xブランド力と販路が鍵
小売・飲食4.0x6.0x8.0x多店舗展開力・立地資産
SaaS8.0x12.0x18.0xARR成長率30%超で上振れ
IT・受託開発5.0x7.0x10.0xエンジニアの定着率が重要
建設4.0x6.0x8.0x許認可・技術者在籍がプレミアム
不動産4.0x6.5x9.0x管理戸数・仲介ネットワーク
医療・介護6.0x8.0x12.0x人材確保力・施設の稼働率
物流・運輸4.0x6.0x8.0xドライバー確保・倉庫資産
卸売業3.0x5.0x7.0x仕入先・販売先の関係性
人材サービス5.0x7.0x10.0x登録スタッフ数・リピート率
EC・プラットフォーム6.0x10.0x15.0xGMV成長率・テイクレート
サービス業(その他)4.0x6.0x9.0xストック収益の有無で差

※ 中小企業M&A市場の実績値・公開情報を参考にした目安です。実際の倍率は案件の個別事情・交渉環境によって異なります。

上場企業と中小企業の倍率の違い

上場企業のEV/EBITDA倍率は、金融データベース(SPEEDA、Bloomberg等)で取得できます。しかし、中小企業のM&Aでは上場企業の倍率をそのまま適用すべきではありません。

中小企業で倍率が割り引かれる理由:

  • 流動性ディスカウント:非上場株式はいつでも売れるわけではない
  • サイズプレミアム:小規模企業はリスクが高い
  • オーナー依存リスク:経営者が変わると業績が不安定化しやすい
  • 情報の非対称性:財務情報の信頼性が上場企業より低い

一般的に、上場企業の倍率から20〜40%程度のディスカウントを適用するのが実務的な目安です。

倍率を上げる(=会社の評価を高める)ためにできること

M&Aの前に以下の点を改善することで、適用倍率が上がる可能性があります。

  1. 経営の属人性を下げる — マニュアル化・権限委譲を進める
  2. 顧客集中度を分散する — 特定顧客への依存度を30%以下に
  3. ストック収益を増やす — サブスクリプション・保守契約の比率を上げる
  4. 財務データを整備する — 月次決算の精度を上げ、管理会計を導入する
  5. 成長の余地を示す — 未開拓市場・新規事業の可能性を具体的に説明できるようにする

これらは「バリューアップ」と呼ばれ、M&Aアドバイザーが売却前に支援する領域です。

まとめ

  • EBITDA倍率は業種によって4倍〜18倍と大きな差がある
  • 中小企業では上場企業より20〜40%低い倍率が適用される傾向
  • 倍率はオーナー依存度・顧客集中度・成長性で上下する
  • まずは自社の業種に当てはまる倍率でValSimを使って概算を出し、その上で専門家に相談するのが効率的

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